汚いパワポ資料なんて誰も読まないからきれいにするべきという話

美しいパワポ資料って憧れるよね。俺もあんな美しいスライドを使ってかっこよくプレゼンしてみてぇ、みたいな。けど美しいパワポはセンスがないと作れない、というわけじゃないぞって話をする。

先に言っておくとデザイナーが作ったような美麗パワポを作れるようになろうと言う話ではない。さすがにそれはセンスや鍛錬が必要だ。

でもセンスや鍛錬がなくても簡単にパワポ資料をきれいにすることはできる。

そもそもの話だが、パワポ資料を作る目的は「わかりやすく」説明をすることだ。そうじゃなきゃ製品マニュアルのWordファイルでも配って説明すればいい。けどそんなん誰も読んでくれないし理解してくれないし聞いてくれない。だから図を使いながら伝えたい要点だけを抽出してパワポ資料を作る。

だから別に目的を達成するという観点では美麗である必要はない。もちろん美麗であるに越したことはないが。人に伝わりやすいパワポ資料は端的に言うと「きれい」だ。以後こういうパワポ資料のことを「きれいなパワポ」と呼ぼう。そしてこの記事ではきれいなパワポを作るための基本的な考え方を解説する。

おいらーです。経営コンサルタントとして働く4年目のサラリーマン。あまりの仕事量に効率化に目覚め、仕事の効率化・家事の効率化を模索し続けている社畜。X(Twitter)やってます。

目次

トンマナを守る

トンマナというのはトーン&マナーの略。その意味は色・フォント・画像などの要素に統一感を持たせるということ。

極端に言うと色んな色やフォントを使いすぎなければいい。こだわると全体の色合いやプレゼンのタイプ・雰囲気によってフォントを変えたり、画像の色合いを微調整してパワポの色合いに合わせるみたいなこともできるがそこまでしなくて良い。

会社で用意されている資料のフォーマットがあるのであればそこから大きく逸脱しなければよいし、フォーマットがないのであればMicrosoft公式のフォーマットやネットにあるフォーマットを拾ってきて崩さずに使えば大丈夫だ。

フォーマットのカラーパレット

独自性を出そうとしてフォーマットのカラーパレットにない色を多用したり、色んなフォントを使ったりするとクソダサい資料ができる。

トンマナの揃った資料
トンマナの揃ってない資料

色を使いすぎない

トンマナに書いたこととほぼ同じことだが、色を多用するとガチャガチャして見にくいのでタブーだ。フォーマットのカラーパレット内の色だけを使っていたとしてもわかりにくく小学生の落書きみたいになるのでやめるべき。冷静になって考えてみれば、色を絞ったスライドのほうがすっきりと見えてスマートなのはすぐにわかるはずだ。

強調したいのであれば太字にしたり下線を引いたり1色だけ使うなどで事足りる。後段で書くが、そもそも1枚のスライドの中に強調したい箇所がいくつもあること自体避けるべきだ。人間はそんなにマルチタスクが得意じゃない。

1枚のスライドに重要な箇所がいくつもあると理解が追い付かなくなってわかりにくいスライドになる。後段のポイントも合わせて取り込めば色を多用する必要すらなくなる。

色を多用すると小学生の落書きのようになる

余白を設ける

これは言われるとすぐ理解できる話なんだが、余白のない資料を作ってしまう人は多い。余白がない資料はガチャガチャするので非常に見にくい。そもそも余白がないほど情報量の多い資料は重要な箇所が分かりにくくなって伝わらない資料になってしまうので避けるべきだ。

余白といってもいくつか種類がある。まずは資料の上下左右の余白だ。Wordだとデフォルトで上下左右に余白が設けられているので勝手に余白のある資料が作れるが、パワポはそれがないため上下左右ぎりぎりまで図形や文字を入れてしまうケースがある。パワポでも上下左右にしっかり余白を入れる必要があるので意識してほしい。

他にも余白を意識するポイントがある。テキストの余白だ。実は文字同士の間隔や行間の広さは調整ができる。デフォルトの設定でもほぼ問題ないが、文字間隔も行間も少しだけ広くするとかなりすっきりした印象にすることができる。

余白が少ない資料

図形は整列する

パワポには図形をきれいに整列させる機能がついているのだが、これを知らずにマウスで腕をぷるぷるさせながら図形を並べている人は多い。そしてマウスで一生懸命に並べた少し位置のずれた図形というのは統一感をなくしてしまう。

人間の目は意外と繊細で、「あ、ちょっと図形の位置ずれてるな」と気が付くものである。この手のものは一度気が付くと気になって仕方ないもので、以後プレゼンに集中してもらえなくなる。こんなにもったいないことはない。

微妙なずれは結構気になる

だから図形はしっかりパワポの機能で整列させよう。図形を整列させるには、整列させたい複数の図形を選択し、「図形の書式」タブの「配置」から整列させればよい。特に、「左右に整列」と「上下に整列」は3個以上の図形を等間隔に並べてくれるので非常に便利だ。

今後この図形の整列操作は何度も使うことになるだろう。その際いちいちリボンから操作をしていては手間がかかるのでクイックアクセスツールバーに登録することをおすすめする。クイックアクセスツールバーについては以下を参考にしてほしい。

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1スライド1メッセージ

わかりやすい資料を実現するには情報を精査することも重要だ。情報の精査の中でも最も重要なことが、1枚のスライドにメッセージは1つだけにするということだ。

例えばさっきから何度も使っているこの資料はタスクフローの全体像を伝えることが目的なので脇道の話はすべて排除している(ダミー資料なので具体性がないのは勘弁)。

タスクフローとして5ステップ書いてあるが、当然各ステップの詳細を書くこともできるだろうし、ステップごとの注力ポイントなんかを力説することだってできるはずだ。でもここではしない。なぜなら全体像を伝えることが目的だから。1スライド1メッセージとはそういうことである。

いい例

極端な例として、この資料の一部だけものすごく詳細化してみる。市場分析の方法に創意工夫があって素晴らしいのかもしれないが、今ここでする話?感がすごい。やはり1スライド1メッセージは徹底したほうが良い。

悪い例

文字は極力少なく、けど資料だけで理解できるように

1スライド1メッセージと似たような話で情報の精査の話だが、文字はできるだけ少なくしながらも後から見返しても理解できるレベルの文章にしておくこともきれいなパワポのためには必須だ。

当たり前だが、文字がびっしりと書かれているパワポは美しくないから読む気が全くしない。誰にも理解されない資料になることだろう。だから文字はなるべく減らした方がいい。

しかしたまに文字を減らしすぎて、図や写真だけをぺたっと貼って資料を作る人がいる。これはNG。作るのは楽だろうけどね。なぜなら後で見返してもさっぱりわからないからだ。

「あの会議で説明された内容、なんて言ってたっけ」と思い出して資料を開いてみたが、写真が貼られたパワポが並んでいるだけで話の流れが全然思い出せない、みたいな経験をしたことがあるサラリーマンは少なくないはず。あるいは「あの会議急用で出られなかったけど資料を見てキャッチアップしておこう」と思ったはいいものの、これまた写真が貼ってあるだけの資料で内容がさっぱり見えてこない、みたいな経験もあるのではなかろうか。

人間の記憶力なんてたかが知れてる。議事録があればまだいいが、それだって議事録と資料を突き合わせて見なきゃいけないし、理解しにくいことは容易に想像できる。パワポ資料だけで思い出せる資料はお互いに仕事効率化にもつながる。手抜きせずに後から読んでもわかるよう文章を精査して書くことは非常に重要だ。

ページは極力少なく

これは文字を減らす派生形の話だ。もう言わなくてもわかるだろう。冗長な説明なんて誰も聞いてくれない。人間の集中力はそんなに持たない。最悪の場合居眠りされるだろう。

だから、ページもしっかり精査して絞り込んで珠玉のスライドで資料を構成するべきである。やみくもにページ数が多い資料を作ったとしても満足できるのは作った本人だけで、理解してもらうという目的は達成されない。これはやった感でしかなく、きれいなパワポとは呼べない。

もちろん、60分の講演をお願いしますと言われてページを絞りすぎて5分で終わる量の資料しか作らないというのはダメだ。そういうときは60分間聴衆を飽きさせない別の工夫がいる。

振り返り

ここできれいなパワポを作るための基本的な考え方を振り返ろう。以下の7つになる。

  • トンマナを守る
  • 色を使いすぎない
  • 余白を設ける
  • 図形は整列する
  • 1スライド1メッセージ
  • 文字は極力少なく、けど資料だけで理解できるように
  • ページは極力少なく

これらを押さえるだけでかなり整った資料になると思うので意識して実践してみてほしい。

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この記事を書いた人

東京出身。大学院卒業後、経営コンサルタントとして働く4年目のサラリーマン。あまりの仕事量に自分を守るため、生活を守るため効率化に目覚め、仕事の効率化・家事の効率化を模索し続けている社畜。サビ残が多すぎて自分の本当の残業時間はもはや分からない。

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